キスラーロッド モデル別特性
通常メーカーのモデル分けはコストを含めたブランクスの違いを念頭にそこから各モデルへと派生して行くスタイルが多い様ですが、 キスラーのモデル分けはやや特殊です。現在オリジナル素材を採用しているシリーズはMagnesium TS、Helium II LTX、Helium LTAの3種類ですが、ブランクス別に3種の同一モデルがある訳ではありません。これはキスラー社の自然発生的に生み出されたスパインをモデルに生かすというロッドデザイン哲学の為で、例えばHelium LTAシリーズの6フィートミディアムは、同一テーパーデザインのMagnesium TSシリーズの6フィートミディアムとは全く別の特性を発現し、必ずしもベストの性能を発揮する訳では無い為です。通常であればこれを技術的に押さえ込んでモデル化するかもしれませんが、その様な製品はキスラーにとって必要の無いモデルとなるのです。
また、前記3シリーズは何れも極めて酷似したオリジナルのカーボン繊維からなっており、テーパーデザインを無視したシリーズ別のブランクス特性となるともはや(デザインした本人でさえも)若干重い、少し軽い、程度にしか答えられないとの事です。
Helium LTAシリーズ 
IM7素材を採用したグラファイトプラスシリーズの成功により、兼ねてからの(親子2代に渡る)夢であった全くオリジナルの素材によるブランクス生産が現実となりました。しかしライバルメーカーのフラッグシップモデル、G.LoomisのGLX、FenwickのTechna AVのブランクスはあまりにも高性能であり、それらを素材性能面で上回るのは大変に困難です。結果、前述の様にあらゆるカーボン繊維/マテリアルを徹底的にテストし、通常ではありえない莫大な不燃ゴミの山を築きながらもHelium LTAシリーズを完成させました。
Helium LTAのブランク特性で真っ先に挙げられるのは、軽量、高感度という点ですが、Helium LTAはパキパキとした典型的な高弾性素材の質感では無く、筋肉質でしなやかに曲がりながらパワーを出して行くブランク特性です。それは1点のみが突出した分かりやすい一見の高性能では無く、キャスト、ルアー操作、バイトを感じて フッキング、そしてバラさずに取り込む。それらロッドに求められる全ての能力、兼ね備える事が困難な能力を、高レベルで実現した上での軽量、高感度なブランクスなのです。そして米バスロッド業界においては最低条件とされる壊れにくさをも当然兼ね備えています。高弾性のブランクをぎりぎりまで曲げていった時にユーザーが感じる怖さの限界点、ロッドが悲鳴を上げる瞬間は、驚くほど奥にあります。
Magnesium TSシリーズ 
Helium LTAシリーズにおけるキスラー独自のブランクス素材の成功は、またより多くのユーザーからの課題を与えられる結果と なりました。米バスロッド業界においては高額すぎるHelium LTAシリーズのバリューモデルの開発です。勿論単に安いラインを造るのならブランクの質を下げれば良いのですが、そんな商品が評価される程米国市場は甘くありません。価格が安く、それでいてHelium LTAシリーズ 同様のパフォーマンス。この命題に答えるべくまずは生産工程での人件費削減を目指し、Magnesium TSシリーズは中国の自社工場で生産されています。また、ガイドリングはジルコニアからアルコナイトへの変更、これらのコストダウンによりMagnesium TS シリーズはブランクの質を維持したままのプライスダウンを成功させたのです。 さらにHelium LTAシリーズでは実現出来なかったセパレートグリップを採用。ライドラッピングパターン、コルクもより良い物を搭載する事が出来ました。これはブランクス1本勝負のHelium LTAシリーズには無い個性と言えるでしょう。
尚、ブランクスはHelium LTAシリーズに非常に近い属性を持つオリジナルのカーボン繊維を使用。若干の重量アップとなりましたが、他パフォーマンスは略同等とされており、より素直な属性からグラスコンポジットモデルとしての性能も秀逸です。バリューモデルを掲げながらも決して基本性能に妥協はせず、異なる魅力を生み出しています。
Helium II LTXシリーズ 
Helium LTAからの進化。Magnesium TSシリーズが価格面での進化であるならば、HeliumII LTXはコストを無視した機能面での進化です。その ブランクスはHelium LTAをより肉厚にしたかの様な印象ですが、それでいてより軽量です。そして目にするのは全くの新規開発の"Shark Skin"グリップ。手間を無視したそのデザインはすべて究極の感度と操作性を得る為です。
Ampli-Fiber Coreと呼ばれる独自の構造により大変軽量かつ高弾性素材の感覚を得ながらも、キスラーらしいあくまでしなやかに曲がるブランクスです。それはユーザーが想像しえる進化のベクトルとは異なる形かもしれませんが、全ては究極の道具としてのフィッシングロッドの進化形です。
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